2013.2.9 更新
カゼ症状を楽にする方法
ウイン調剤薬局衣笠店 保険薬剤師 小山幸恵(慶応義塾大学 薬学部卒)
カゼ(症候群)の原因微生物は、その80?90%がライノウイルスやインフルエンザウイルスを始めとするウイルスです。中でも注意を要するインフルエンザの流行は、例年1月下旬から2月上旬にピークを迎えるため今が最も注意が必要です。この2月1日に国立感染症研究所が発表した、医療機関を受診した平均患者数は、1/21?27日の1週間で大半の都道府県で警報レベルの「30人」を超えました。マスク・手洗い・加湿を常に意識し普段から予防を心がけましょう。
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☆もし、カゼを引いてしまったら…役に立つツボは?
☆もし、カゼを引いてしまったら…役に立つツボは?
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【 風 門 】(ふうもん)
【 風 門 】(ふうもん)
カゼは『風邪』と書きますが、東洋医学では『風邪(ふうじゃ)』と呼び、風の邪気を指します。過労、不規則な生活、睡眠不足などで身体の抵抗力が弱まった時に「風の邪気」が身体に入って起きる病気のことです。場所で言うと、背中の後ろ髪の生え際から親指一本位下の辺りに『風門(ふうもん)』と言うツボがありますが、邪気はここから身体に侵入します。カゼの引き始めに、背中がゾクゾクすることは良く経験されることと思います。この段階の、つまりカゼが風門から侵入して間もない時であれば、風邪を退治することが可能です。
●風邪の退治方法とは
風門の辺りに貼るタイプのカイロを当てたり、ドライヤーを当てるなど、しっかり温めることです。そうすればカゼを「ゾクゾクする」初期段階で治すことができるはずです。
[ 応用編 ]
普段から風門にカイロを貼っておくと、カゼの予防にもなります。体全体が温まって免疫力がUPします。
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☆カゼの症状が出てから効くツボは?
☆カゼの症状が出てから効くツボは?
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【 風 池 】(ふうち)
【 風 池 】(ふうち)
風邪が風門を通って好んで溜まる場所があります。『風池(ふうち)』です。
頭の血行が悪くなって、頭痛・頭重感・首のこり・発熱・体のだるさ、などの症状が出てきます。ツボの場所は、後ろ髪の生え際沿いに2本太い筋肉がありますが、その両外側から左右の耳に向かって親指2本分の幅で、左右両方、耳のうしろにあります。両手の親指で左右の風池を同時に押しながら、頭をゆっくり前後にゆすると刺激が良く伝わります。
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☆カゼがこじれたら・・ ?
☆カゼがこじれたら・・ ?
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【 風 府 】(ふうふ)
【 風 府 】(ふうふ)
風池に溜まった邪気は後頭部にある『風府(ふうふ)』から『脳戸(のうこ)』というツボにたどり着き溜まります。これが風邪のこじれた状態で、鼻水・鼻づまり、などのカゼ症状が出てきます。ツボの場所は、後頭部の中心線上で後ろ髪の生え際から親指1本分上の窪みです。脳戸は丈に指2本分上になります。親指で押しながら、頭をゆっくり前後にゆすると刺激が良く伝わります。
※ツボの位置は人それぞれ微妙に異なります。自分の指で確認して違和感を感じる場所を探して下さい。その周辺を含めて10秒?1分位指圧を繰り返して下さい。
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☆カゼを引いた時の食べ方は
☆カゼを引いた時の食べ方は
カゼを引くと身体がウイルスや細菌を退治するために、発熱などの炎症反応を起こしますが、これは身体がわざと起こす防御反応です。炎症が起こることで、熱・咳・喉の痛み、といったカゼのお決まり症状が出ます。身体が頑張って戦っている時に、薬などで無理に抑えてしまうのは必ずしも良いとは言えない場合があります。たとえば、インフルエンザウイルスは熱に弱いとのこと、カゼの初期に起きた炎症反応は、できれば我慢できるレベルまで適度に和らげる程度にし、生体の防御反応は抑え込み過ぎないことが良いのではないでしょうか。
◇炎症を適度に和らげる食べ物は・・・ネギ 玉ねぎ ニラ 大根 などです。
◇身体を温める食べ物は・・・生姜など(前回コラム参照) -
☆カゼを引いた時の食べ方まとめ
☆カゼを引いた時の食べ方まとめ
?身体を温めるものを食べる。
?栄養がある食べ物を摂る。
(カゼで不足するものはグルタミン※1ビタミンC※2など)
?炎症を抑えるものを摂る。
(ネギ・玉ねぎ・ニラ・大根など)
?消化の良いものを摂る。
(消化には多くのエネルギーを使います)
?美味しい物を食べる。
(おいしくなければ元気は出ません)
[ おすすめのレシピ ]
・長ネギと大根すりおろしのスープ ・玉ねぎと卵の鶏ガラスープ
・にら卵雑炊 ・焼梅ハニー生姜茶 ・生姜はちみつ牛乳
※1.グルタミンを含む食べ物 卵・小麦粉・大豆・肉・魚
※2.ビタミンCを含む食べ物 パセリ・ブロッコリー・ピーマン
などの緑黄色野菜
レモンやいちごなどの果物
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夏の漢方薬
梅雨も終わり、暑い夏がやってきました。
近年は異常気象が続き、気温の上昇がみられます。一部の地域では40度を記録する事態となっています。そこで、問題となるのが熱中症です。熱中症で救急搬送された方は2010年以降、増加傾向にあります。
夏を元気に過ごすために、暑さに対する健康管理が大事なポイントになります。
熱中症の原因としては、食欲不振による栄養不足、胃腸の疲れによる消化能力の低下、暑さによる睡眠不足など様々な原因が考えられます。
このような症状にどのように対応していくのか。
西洋薬では、症状に対してピンポイントで効果が期待できます。しかし、熱中症のような体のバランスが崩れて症状として現われている場合、漢方薬の得意分野ではないかと思います。
熱中症に対する主な処方として清暑益気湯や補中益気湯などがあり、これらは、「ニンジン」と「オウギ」という2種類の生薬が入っています。この2つの生薬が入ったものをジンギ剤と呼び、疲労回復や滋養強壮に効果があるとされています。
それぞれどんな症状の人に合うのか。 -
「那須は住むところです」〜那須の四季〜
那須は、もうすぐ芽吹きます。那須は訪れるところではなく、住むところなのです。
那須で新しい発見を探してみませんか?
首都圏から手軽にアクセスできる那須高原。ひょんな事から那須に住んで12年、
感じたままの那須のすばらしい四季を追ってみたいと思います。 -
後輩たちに伝えたい
大災害時の 薬局・薬剤師の活動 -
口腔ケア。ちゃんと出来ていますか?
歯科領域で今注目されているのは歯周病です。
歯周病は全身に様々な疾患を引き起こすことが明らかにされてきました。歯周病は細菌感染症です。
お口の中の常在菌とは違う菌で、歯垢(プラーク)に含まれている歯周病菌に感染し、歯肉が腫れたり出血したり、最終的には歯が抜けてしまう病気です。 -
中国漢方で花粉症を治療する
スギ花粉のシーズンが今年もやってきました。
冬の寒さから開放され徐々に暖かくなり、桜も咲くこの季節が
花粉症の方にとってはつらくいやな時期ですよね。
つらい症状を少しでも楽にこの時期を乗り切っていただきたいと思い、
今回は中国漢方による花粉の治療方法を紹介したいと思います。 -
身体の冬支度をしましょう
そろそろ「寒中見舞」を出す頃です。
冬は本番。シベリアから寒気団が南下して冬将軍も到来し、特に朝晩は冷え込みます。
また温度も下がるため、空気はカラカラの毎日です。
本格的な冬に向けて、身体をしっかりと整えましょう。 -
漢方薬の種類と原料について
漢方薬と呼ばれている薬の原料は、日本、中国、南方諸国のものがあり、種類は数百種類もあります。
その原料の中には、皆様が普段目にする物から、珍しい物、また、びっくりするような物まで、バラエティーに富んでいます。